• タオルーズ (旧鈴新箱崎倉庫)S ≒ 1/300
    組み立て難易度✪✪✪✪

築 年

不明

所在地

日本橋箱崎町 (※現存せず)

業種・用途

焼肉店(元倉庫)

※ 閉店し港区に移転、建物跡地はマンションになっている。

 首都高速が立体交差する箱崎の東京シティエアターミナルを背にした元倉庫で、吹き抜けの高い天井と20m以上ある広々とした奥行きをもつ。日本でいう七厘を中国では〝陶爐〟と書き、タオルーと発音することから、店名をTAOLU’Sタオルーズとしたそうだ。七厘をテーブルまで運んで、高級和牛の焼肉や冬場は豚骨とじゃがいもの韓国の鍋、カムジャタンも供している。

 築年は不明だが、神田の板ガラス問屋の倉庫として建てられた建物は正面外壁を赤茶色に塗り、水運が盛んだった箱崎川の流れに面していた裏手の閉ざされたシャッターに、荷揚げに使われた河岸の名残がある。ワイヤーロープなどを扱う会社の所有となったあと、しばらく使われず空き家になっていたところを、石橋蓮司主宰の劇団第七病棟が仮設の劇場にして2000年に唐十郎作『雨の塔』がここで上演されている。
 外観とは対照的に、木と金属の内装がほどこされた店内は赤い照明で演出され、焼酎バーも併設する。

 隅田川と日本橋川をむすび亀島川につながっていた箱崎川は、昭和40年代に埋め立てられ水運の役割を終えたが、跡地に通じた首都高速6号向島線は箱崎JKTで9号深川線と合流し、上をさまざまな人や物を載せた乗用車や大型トラックが北に東に疾走する。時を経て、海外に通じる玄関口とも金網フェンス一枚を隔てた元倉庫の錆びたシャッターは、いま何を語るだろう。

(月刊日本橋 2003年2月号附録)